化粧品てめちゃくちゃ種類があって、価格も100均で買えるものからデパートなどでは数万円のものもざらにありますよね。
同じ化粧品なのに、どうしてこんなにも違いがでるのでしょうか。
配合成分でこんなに値段が変わるのでしょうか。
値段が高いほど効果があるのでしょうか。
実際のところはよくわからないですよね?
私は低価格帯から高価格帯の化粧品まで、様々な化粧品の開発担当を経験してきました。
その経験を基に違いをお伝えします。
実は、化粧品の価格にはさまざまな要素が絡み合って、決められています。
この記事では、そんな化粧品の裏側が見えてくるかと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
化粧品の価格で変わること
化粧品の価格が違うことで、以下の点が違ってきます。
- 配合原料
- 研究開発費
- 容器、パッケージ代
- ブランドイメージ
次にそれぞれ細かくお伝えします。
配合原料
当然、販売価格が高いほど色々な原料を使うことが出来ます。
原料の価格はピンからキリまであり、安いと数百円/kgから、高いものでは数十万円/kgのものもあります。
販売価格によって配合できる原料の種類や量はその影響をモロに受けます。
ただし、高い化粧品の方が色々な原料を使えますが、「使える」だけであって、原料原価が確実に高いわけでは決してありません。
ここには処方設計者の好み、開発の予算、会社の方針等で、高級化粧品でも原価は超低価格ということもあり得ます。
例えば、会社が「化粧品の原価はとにかく安くしろ!!」という方針を決めるとします。
すると、処方設計者はいかに肌に良い化粧品を作るか、よりもいかにコストを抑えた化粧品を作るかに注力してしまいます。
よく見るブランドの高級価格帯の全成分表示を見ると、それなりに原価をかけているなと思います。
ただ、中にはこの価格帯でこんな原料使ってるの?と驚かされることもあります。
原価が高いかどうかは表示成分の前の方を見ると、何となく分かることもあります。
では、配合原料が変わってくるとどんな違いが出てくるのでしょうか。
以下にまとめてみました。
・配合原料数が多くなりがち。
・有効成分量が多くなりがち。
それぞれ細かくお伝えします。
使用感に特徴が出やすい
使用感とは化粧品のテクスチャーや使い心地です。
塗っている時のノビやしっとり感、仕上がった時のハリ感やべたつき感等、使って感じる事をまとめて使用感と言っています。
化粧品の価格が高く、使える原料の幅が広がるとより特徴的な原料を使えることが多いです。
例えば、保湿力がとても高い原料、すごくしっとりするのにべたつかない原料、少量で乳化できる原料等、高機能な原料が多々あります。
そして、この様な高機能原料は原料価格が高くなる傾向になるため、低価格帯の化粧品には使いづらくなります。
一方、低価格帯の化粧品では、使える原料の幅は高価格帯ほど選択肢が広くないため、使用感に特徴が出にくくなります。
このように化粧品の価格によって使用感は大きく変わってきます。
配合原料数が多くなりがち
価格帯によって、配合原料数も変わってきます。
なぜなら配合原料が多いと、その分工場で大量に生産する時のコストも変わってくるからです。
低価格帯の化粧品はなるべくシンプルな処方にして、コストを抑えて沢山作れるように工夫をします。
ちなみに低価格化粧品でも全成分表示がとても多く、色々な原料を沢山使っているように見えるものもあります。
これにはカラクリがあり、1つの原料にそもそも様々な成分が混ざっていて、その原料を使うだけでいろいろな成分が入っているように見せています。
なので、配合原料数に関しては全成分表示はあてになりません。
有効成分量が多くなりがち
植物エキスであったりコラーゲンやセラミドといった、いわゆる有効成分の配合量も変わってきます。
基本的に有効成分は原料原価が高いでので、基本的にあまり配合されません。
一方で、高価格帯は割とふんだんに配合される傾向にあります。
ただ、配合量はブラックボックスであり、メーカーごとにかなり違います。
高価格帯の化粧品でも微量しか入っていないということは全然あり得ます。
私が以前働いていた会社では、高価格帯の化粧品には結構たっぷりと配合していました。
研究開発費
研究開発に使われるコストももちろん違ってきます。
化粧品開発には基礎的な肌や細胞の研究や、製剤化技術の検討など幅広く行われています。
高価格帯の化粧品にはより魅力的な価値を付与するため、精力的に研究が行われ、新しい技術が取り入れられます。
その成果は学会で発表されたり、論文投稿されたりもします。
業界内へのアピールの意図があります。
一方で、低価格帯の化粧品は既存の処方(化粧品のレシピ)を流用することも多く、なるべくコストをかけずに開発されたりします。
また、すぐに販売するため、納期も短い傾向が多いです。
しかし、新しい技術が取り入れられたり、じっくりと研究されていたとしても、肌への効果に直接結びつくかはまた別だったりもします。
効果はさておき、新商品の訴求(ウリ)のためだけの技術だったりもあります。
容器代、パッケージ代
容器代、パッケージ代も大きく影響を受けます。
高価格帯の化粧品はメッキを使ったり、パーツ数が多かったりと容器のデザインにもかなりこだわります。
一方で、低価格帯の化粧品は非常にシンプルな構成になりがちです。
パッケージも箱のデザインが凝っていたり、過剰包装気味に豪華になります。
これは高価格帯の化粧品を購入したことがある方はよくわかると思います。
煌びやかなデザインや、オシャレすぎて一見どうやって使ったらいいかわからない容器もあったりします。
ブランドイメージ
このブランドイメージも価格にかなり効いています。
化粧品メーカー各社、様々なブランドを展開していますが、ブランド毎のイメージで価格が決められます。
ですので、中身は大してコストをかけていないけど、ブランドイメージを保つため、価格だけ高いものもあります。
開発当初は価格が決まらず、後からブランドのイメージ優先で価格が決定されることもよくありました。
また、私の経験になりますが、ブランドの中で化粧水、乳液、クリーム等ラインでリニューアルすることになったりしたときに、クリームの原価が高くなりすぎたから、他の化粧水で原価を抑えてバランスを取ったりもしました。
ヴィーナスウォーカー|在宅でできる美容モニター案件参加効果の違いは?
化粧品は値段が高くなるとその分効果も上がるのでしょうか。
私の経験から来る意見ですが、答えは「ノー」だと思います。
高い化粧品でもブランド力だけで成分は大したことないものもあります。
私が強くお伝えしたいのは、低価格帯の化粧品でも適切な使用量を適切な方法で使えば、基本的なスキンケア効果は十分あります。
スキンケア化粧品の効果を担うのは主に、グリセリンやBGの様な保湿剤や、ミネラルオイル、ワセリン、スクワランの様な油剤(オイル)といった基本的な原料です。
これらの原料原価は高くなく、化粧品の価格に関わらず、基本的に配合されているため、一般的なスキンケア効果も化粧品の価格に大きく左右されることはありません。
高価格帯の化粧品はそこに+αの効果が期待できますが、この+αは本当にピンキリだと思います。
ちなみにデパート等でビューティーアドバイザー(BA)が効果を説明してくれますが、BAも配合量や配合成分の細かいところまでは伝えられていません。
鵜呑みにしすぎるのはお勧めしません(元BAの妻談)。
理解していただきたいのは、化粧品の価格は効果で決められるものではないということです。
化粧品中身を含め、容器、パッケージ、ブランドイメージ、デザイン等様々な要素をひっくるめて決められ、そのすべてを受容して、楽しむのが化粧品だと思います。
ヴィーナスウォーカー|在宅でできる美容モニター案件参加高い化粧品と安い化粧品、どちらを使うべき?
では、高価格帯の化粧品と低価格帯の化粧品、どちらを使うべきでしょうか。
基本的には、まず低価格帯の化粧品をしっかりと使うことをお勧めします。
先ほどもお伝えした通り、低価格帯の化粧品でもちゃんと使えば、スキンケアの効果が期待できるからです。
逆にちょっと背伸びして、高い化粧品を使うともったいない気持ちが出てきて、使用量や頻度が少なくなりがちです。
それではスキンケア効果は十分に得られません。
一方で、化粧品は嗜好品の側面もあります。
好きなブランドやイメージを重要視される方には、高価格帯の化粧品を楽しむのも一つの手です。
それでもスキンケアする際は十分な使用量と頻度を保っていただきたいです。
このあたりは個人の考え方で大きく変わりますね。
ただ、多くの方は払ったお金に見合う効果が欲しいと思うのではないでしょうか?
それならばやはりお求めやすい化粧品を購入し、アイテム数や種類、使い方を見直す方が効果的だと私は考えます。
例えば、私が非常におススメしたいプチプラの乳液があります。
こちらは美人ぬか 純米乳液というアイテムです。
あまりメジャーな乳液ではありませんが、全成分を見ていい乳液だと私は感じました。
以下がその全成分です。
水、BG、グリセリン、ホホバ種子油、トリエチルヘキサノイン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、スクワラン、エタノール、グリコシルトレハロース、ベタイン、コメヌカ油、コメヌカエキス、アセチルヒアルロン酸Na、コメヌカスフィンゴ糖脂質、サッカロミセス/コメヌカ発酵液エキス、コメヌカ水、ダイズ芽エキス、イノシトール、ナイアシンアミド、プルラン、ビオサッカリドガム-1、オリザノール、加水分解水添デンプン、グリチルリチン酸2K、アラントイン、キサンタンガム、ベヘニルアルコール、セテス-1、水添レシチン、リゾレシチン、アルギニン、トコフェロール、ノバラ油、オレンジ果皮油、セスキオレイン酸ソルビタン、PEG-50水添ヒマシ油、ポリソルベート20、カルボマー、水酸化Na、クエン酸、グルコン酸クロルヘキシジン、フェノキシエタノール、メチルパラベン
この全成分の良い点としては、以下の点が挙げられます。
- 水溶性の保湿剤として、グリコシルトレハロースやベタインが配合されている。
- 原価の高いホホバオイルが、オイル成分で一番多く配合されている。
- 非常に安いミネラルオイルではなく、高いスクワランが配合されている。
これらの特長のため、基本的でかつ重要な保湿の効果がしっかりと期待できます。
元化粧品開発者から見ると、非常に良い乳液だと思います。
それでありながら、通常サイズは500円程度で購入可能です。
使い勝手の良い、ビッグサイズのポンプ容器のものでも1,000円台です。
美人ぬか 純米乳液のレビューに関して詳しくは、
この「元化粧品開発者が美人ぬか 純米乳液 しっとり乳液の成分解析と使用レビュー」にまとめて記載していますのでぜひこちらもご覧ください。
このように安くても良い化粧品は、ちゃんと売られています。
ただ、それがあまり知られていないのが残念です。
そのため、価格に惑わされずに、しっかりと配合成分で化粧品を選ぶ目を、養っていただきたいと思っています。
ブランドのイメージだけではなく、しっかりと配合成分も見て化粧品は選ぶべきだと、開発者になってから強く感じました。
以上の考えから、他のレビュー記事でも、同じように成分を見て、コスパの良いアイテムを紹介しようと心掛けています。
コスパの良いと感じたスキンケア化粧品のレビューに関して詳しくは、
この「【元化粧品開発者が解説】いろんなプチプラ基礎化粧品をレビューしてみた。」にまとめて記載していますのでぜひこちらもご覧ください。
まずは、これらコスパの良い商品を、日頃からしっかりと使ってみてください。
それでもまだ満足できないときに、もう少し高い商品を考えてみるのでも遅くはないと思います。
ヴィーナスウォーカー|在宅でできる美容モニター案件参加まとめ
今回は化粧品の価格について、私の見解をまとめてみました。
・高い化粧品だからといって原料の原価が高いとは限らない
・化粧品の値段と効果は比例するわけではない
・安い化粧品でもちゃんと使えばしっかり効果は感じられる
私は低価格帯の化粧品で十分スキンケア効果はあると考えています。
ですが、高価格帯の化粧品にしかない魅力ももちろんあります。
また、化粧品は嗜好性の高いものですので、好みの問題でもあります。
迷われている方はまずは低価格帯の化粧品から、色々と使ってみてお気に入りの一品を探してみてはいかがでしょうか?