【元化粧品開発者が解説】化粧品の保湿成分とは?-オイル編-

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某化粧品メーカーの元化粧品開発者。
約8年間、基礎化粧品一筋の開発者として多数の化粧品の処方設計に従事。その後転職し、現在は肌に関する研究活動に注力。
化粧品開発者としての知識や経験を基にしたスキンケア情報や、ライフハック的な情報を随時発信。

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みなさんは化粧品の成分についてどれくらいご存知でしょうか。

イメージの良いエキスやヒアルロン酸などの訴求成分については、何となく知っているかもしれませんね。

一方で、もっと大事で基本的な化粧品の成分に関しては、あまり詳しくないという方がほとんどかと思います。

ですが、化粧品の基本的な成分について知っていれば、もっと賢く化粧品を選ぶことが出来ると思います。

そこで、今回は化粧品の成分の中でも非常に基本的な保湿成分である、オイルについてご説明したいと思います。

ぜひ最後までご覧下さい。

こんな疑問を解決します!!
  • 化粧品のオイルってどういう働きをしているの??
  • オイルにはどんな種類があるの??
  • おすすめのオイルは??
  • オイル(油)の主な効果はエモリエント

    ナチュラルオイル

    オイルは油性成分やエモリエント成分も呼ばれ、スキンケア化粧品では保湿剤として非常に重要な役割を持っています。

    まずは、このオイルの基本的な特徴をお伝えします。

    オイルはエモリエント効果で保湿する

    オイルはエモリエント効果で保湿されます。

    どのような効果かというと、肌上のオイルが水分蒸散を防いで、肌の柔軟性を保つものです。

    オイルの膜

    肌の上にオイルの保護膜を作って、水分を閉じ込めるイメージです。

    この効果によって、肌は乾燥から守られ、潤った状態を保ってくれるわけです。

    オイルはいろいろな種類がある

    オイルは分子の構造によっていろいろと分類さます。

    一般的に以下のように分けられます。

    1. 炭化水素
    2. 高級脂肪酸
    3. 高級アルコール
    4. 油脂
    5. エステル油
    6. ロウ類
    7. シリコーン油

    どれか一種類を配合するのではなく、これらの様々なオイルを組み合わせて、保湿効果や使用感の良い化粧品が作られます。

    それぞれの特徴について簡単にご説明します。

    炭化水素

    スクワラン

    炭化水素とはその名の通り、炭素(元素記号:C)と水素(元素記号:H)から出来ているオイルです。

    このCとHが直線状に並んだり、枝状に並んだりすることで、液状から固体までさまざまな性状の炭化水素が存在します。

    化粧品にはいろいろな種類のオイルを混ぜて配合しますが、配合のしやすさからベースのオイルとして炭化水素はよく使われます。

    同じ炭化水素でも由来はいろいろとあり、石油由来や動植物由来のものがあります。

    石油由来でスキンケア化粧品によく使われるのは、ミネラルオイルワセリンです。

    動植物由来では、スクワランあたりがよく使われています。

    kazunari
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    ミネラルオイルは非常に安いオイルなので、めちゃくちゃよく使われています。

    高級なアイテムなどには、ミネラルオイルの代わりにスクワランが使われていたりもします。

    高級脂肪酸

    ステアリン酸

    高級脂肪酸は炭素(元素記号:C)と水素(元素記号:H)に加えて、酸素(元素記号:O)で構成されています。

    炭素と水素が鎖状に並び、その端がCOOH(カルボキシル基)になっている構造をしています。

    一般的にはR-COOHといった書き方もされます。

    R部分が炭素と水素の鎖の部分で、Rは様々な長さや形があります。

    そしてこのR部分の違いによって、様々な性質が変わってきます。

    ‘高級’脂肪酸と言いますが、この高級は質や価格が高い、低いという意味ではなく、Rの部分が長いという意味で使われています。

    高級脂肪酸の多くは、室温で固形状になっていて、主に乳液の粘度やクリームの硬さを出したり、乳化の補助剤として配合されます。

    また、石鹸の原料にもなるため、洗顔クリームなどの洗浄剤に多く配合されます。

    一般的には以下の高級脂肪酸が化粧品ではよく使われます。

    1. ラウリン酸
    2. ミリスチン酸
    3. パルミチン酸
    4. ステアリン酸

    それぞれR部分の長さが異なっています。

    石鹸の成分として使われる場合、泡立ちや泡質、刺激性などがそれぞれ違っており、これらを組み合わせて使用感の良い石鹸が作られます。

    これらは一例にすぎず、実際には非常に多くの高級脂肪酸が存在しています。

    kazunari
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    高級脂肪酸はどちらかというと、クリームなどの塗りっぱなしの製品より、洗顔クリームなどの洗浄剤で多く使われます。

    高級アルコール

    セタノール

    高級アルコールも高級脂肪酸と同様に炭素(元素記号:C)と水素(元素記号:H)、酸素(元素記号:O)で構成されています。

    高級脂肪酸との違いは、炭素と水素の鎖の端がCOOHではなく、OH(ヒドロキシル基)となっていることです。

    用途としては、乳液の粘度やクリームの硬さを調節したり、乳化の補助剤として使われます。

    脂肪酸と異なり、洗浄剤には使われません。

    一般的には以下の高級アルコールが化粧品ではよく使われます。

    1. セタノール
    2. セテアリルアルコール
    3. ステアリルアルコール
    4. イソステアリルアルコール
    5. ベヘニルアルコール

    それぞれR部分の長さが異なっていたり、枝分かれなど構造が違っています。

    こちらも高級脂肪酸と同様に、非常に多くの種類が存在しています。

    それぞれクリームを硬くする力や、乳化への影響度が変わってきます。

    油脂

    油脂構造

    植物オイルのほとんどは油脂に分類されます。

    油脂はグリセリンに3つの高級脂肪酸がくっついた構造をしています。

    この構造のものをトリグリセライドと呼びます。

    グリセリンにくっつく高級脂肪酸はいろいろな種類があることから、油脂はいろいろなトリグリセライドが混ざったものになります。

    一例としてマカデミアナッツオイルの脂肪酸組成を示します。

    マカデミアナッツ油脂肪酸組成
    引用元:化粧品成分オンライン

    上記のように9種類もの高級脂肪酸がグリセリンにくっついていることが分かります。

    由来となる植物によって、この組成が異なり、それによって常温で液体であったり固体であったりと性質が変わってきます。

    分子構造が大きいため、他のオイルと比べて厚みやコクを感じやすいものが多い特徴があります。

    エステル油

    エチルヘキサン酸セチル

    エステル油は脂肪酸とアルコールがエステル結合でくっついている構造をしています。

    そのため、エステル油という名称になっています。

    エステル油の脂肪酸とアルコールは、構造が大きい高級だけでなく、小さな低級のものも組み合わせられます。

    そのため、さっぱりとしたオイルから重厚感のあるオイルまで幅広く存在しています。

    特に小さな構造のエステル油は、メイクなどと馴染みが良いので、クレンジング製剤に使われたりします。

    ロウ類

    ロウ類構造

    ロウ類は動植物から得られるオイルで、高級脂肪酸と高級アルコールからなるエステル油の混合物です。

    ただ、合成ロウというものもあり、こちらは単体のエステル油で構成されています。

    このようにロウ類の定義は少し曖昧ですが、エステル油の仲間というくらいのイメージでいいと思います。

    ロウ類は肌や皮脂の構造に似ていることから、肌なじみが良いと言われています。

    代表的なロウ類はホホバ油種子油かと思います。

    古くから皮膚の治療などに使われていたり、皮脂の分泌を抑えるためニキビケアに有効と考えられています。

    また、肌なじみが良く、皮膚を柔軟にする効果もあるので、非常に優れたオイルだと私は思います。

    シリコーン油

    シリコーン構造

    シリコーン油はこれまでのオイルと比べて、ちょっと特殊です。

    これまでのオイルは炭素(元素記号:C)が骨格のメインでしたが、シリコーン油はシリコン(元素記号:Si)がメインの原子となります。

    シリコーン油は、非常にさらっとした感触が特徴的です。

    この感触のおかげで、べたつきなどの嫌な使用感を抑えてくれる効果があります。

    また、揮発しやすいものもあり、肌に塗布したときに揮発させることで、肌なじみを早くする使い方もあります。

    ただ、他のオイルと比べて保湿力はあまりないので、保湿剤というよりは感触改良剤の意味合いが強いです。

    オイルの種類まとめ

    いろいろなオイルの種類をご紹介しましたが、スキンケアに用いる場合のざっくりとした使い道を以下にまとめます。

    オイルのまとめ

    ・炭化水素、油脂、エステル油、ロウ類:エモリエント効果による保湿
    ・高級脂肪酸、高級アルコール:乳液やクリームの粘度、硬度調整
    ・シリコーン油:感触改良

    kazunari
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    様々な説明をしましたが、これくらいを把握していれば十分だと思います。

    オイルの性状も液状から固形までいろいろある

    液状油

    オイルの性状によっても使い分けがされています。

    例えば常温での性状です。

    固形油

    液体であったり、固体であったり、はたまたペースト状であるものもあります。

    これらの違いによって、化粧品に配合したときの保湿感やテクスチャーにも違いを生み出します。

    kazunari
    kazunari

    液状のオイルが基本になりますが、液状オイルだけだとオイリーな使用感がダイレクトに出たりするので、固体やペースト状のオイルも組み合わせて、より良い使用感を作り出します。

    memo

    オイルはエモリエント効果で保湿し、種類が非常に多く存在する。

    化粧品中のオイルの役割り

    化粧品オイル

    では、オイルは化粧品の中でどのような役割をしているのでしょうか。

    ざっくり分けると次のような働きがあります。

    1. 肌を保湿する
    2. 使用感を良くする
    3. 化粧品の乳化状態を変える
    4. 他の成分を溶かす

    それぞれ詳しくお伝えしていきます。

    肌を保湿する

    保湿イメージ

    先ほどもお伝えしたとおり、オイルには肌を保湿するエモリエント効果があります。

    肌の水分を逃がさない様にして、しっとりとした肌にしてくれます。

    化粧水でみずみずしい潤いを肌に与えても、化粧水だけではその潤いがどんどん逃げてしまいます。

    オイルを含んだ乳液やクリームでしっかりと潤いを保つのが、健やかな肌を保つ上で大切です。

    保湿は化粧品の基本的な役割であり、肌にとっても非常に重要であるため、オイルはスキンケアにとってなくてはなりません。

    kazunari
    kazunari

    肌にとって大敵の乾燥を防ぐ重要な成分です。

    オイルを塗らずにスキンケアしても、効果は半減してしまいます。

    使用感を良くする

    効果実感イメージ

    オイルは化粧品の使用感を良くする役割もあります。

    特に水溶性の成分由来のべたっとした感触は、オイルを配合することでうまく消えてくれたりします。

    ただ、オイル自身も種類や配合量によっては、べたつきの原因ともなるので、このあたりは開発者の技術力が求められます。

    kazunari
    kazunari

    非常に細かなバランスで良い使用感は生まれます。

    シリコーン油はかなり感触を良くしてくれますが、他のオイルと馴染みにくい性質もあり、配合が難しい場合もあるので、やはり技術が必要となります。

    化粧品の乳化状態を変える

    高級脂肪酸や高級アルコールは、界面活性剤に似た構造をしているため、乳化に影響を及ぼします。

    そのため、水とオイルの界面を強くして乳化を安定化したり、乳化粒子同士のつながりを強くして乳液やクリームの硬くしたりします。

    このように一部のオイルは、保湿や使用感だけでなく、化粧品そのものの性質も大きく変える力を持っています。

    他の成分を溶かす

    成分イメージ

    オイルは他の成分を溶かすために使われたりもします。

    特に日焼け止めでこの性質は重要です。

    なぜなら紫外線吸収剤は基本的に水に溶けず、オイルに溶けるからです。

    最近では高い紫外線防御力が求められるようになり、より多くの紫外線吸収剤を配合する必要が出てきています。

    そのため、より効率的に大量の紫外線吸収剤をオイルに溶かす必要があり、オイルの性質や組み合わせが特に重要となってきています。

    また、オイルは油汚れやメイクを溶かすこともできるので、クレンジング製剤にも非常に重要です。

    オイルに油汚れやメイクを溶かし込み、一緒に配合されている界面活性剤の力で、汚れを含んだオイルが水ですすがれるという仕組みでクレンジングされます。

    このように、他の成分を溶かすオイルは化粧品の中でとても重要な役割を担っていると言えます。

    おすすめオイルとおすすめしないオイル

    オススメイメージ

    先ほどお伝えした通り、オイルには非常にいろいろな種類があります。

    その中でも、スキンケアの観点から個人的におすすめするオイルと、あまりおすすめしないオイルをお伝えしたいと思います。

    結論からお伝えすると、おすすめするオイルは液状のロウ類、おすすめしないオイルはシリコーン油です。

    それぞれの理由を次にお伝えします。

    液状ロウ類をおすすめする理由

    ロウ類は肌や皮脂の構造に似ていて、肌なじみが良かったり、高いエモリエント効果があります。

    ロウ類は固形が多いですが、おすすめは液状のロウ類です。

    固形のロウ類はリップなどを固めるために配合され、スキンケアアイテムにはあまり大量に配合できません。

    液状のロウ類であればしっかりと配合でき、高いスキンケア効果が期待できます。

    実際に化粧品で見られる液状ロウ類は以下の2種類です。

    1. ホホバ種子油
    2. オレンジラフィー油

    ホホバ種子油は非常にメジャーなオイルなので、ご存じの方も多いかと思います。

    適度に厚みがあり、保湿感が高いのですが、べたつかず肌をふっくらと柔軟にしてくれます。

    kazunari
    kazunari

    オイルとしての性能が高く、私もよく自分の担当商品に配合していました。

    もうひとつのオレンジラフィー油は、深海魚のオレンジラフィーから採れるオイルです。

    液状ロウ類特有の肌なじみの良さや、エモリエント効果の高さがありますが、こちらはホホバ種子油と比べて、あっさりとした感触が特徴的です。

    ホホバ種子油が濃厚、オレンジラフィー油はさっぱりタイプといった感じです。

    どちらも素晴らしいオイルですので、全成分表示を見たときに前の方に記載がある化粧品を選ぶのもおすすめです。

    kazunari
    kazunari

    オレンジラフィー油はちょっとレアな成分です。

    まずは、ホホバ種子油を覚えておくといいと思います。

    例えば、美人ぬか 純米乳液 しっとり乳液はオイルの成分としては、一番前にホホバ種子油の記載があります。

    レビューもしていますので、気になった方はこちらも見てみてください。

    美人ぬか 純米乳液 しっとり乳液に関して詳しくは、
    この「【元化粧品開発者の成分解析&使用レビュー】美人ぬか 純米乳液 しっとり乳液」も是非ご覧ください。

    シリコーン油をおすすめしない理由

    シリコーン油をおすすめしない理由は単純です。

    スキンケア効果があまり期待できないためです。

    シリコーン油はスキンケア効果より、感触を良くするために配合されます。

    そのため、あまり多量にシリコーン油が配合されると、その分他のオイルが配合できなくなり、化粧品としてのスキンケア効果が低下する恐れがあります。

    ある程度の配合量は全く問題ありませんが、あまりに全成分表示の前の方にあるものは控えた方がいいと思っています。

    シリコーン油の種類は非常に多いですが、成分名称の中に

    1. メチコン
    2. ジメチコン
    3. シロキサン

    といった単語が入っているとシリコーン油なので、こちらを覚えておくと、化粧品選びの参考になるかと思います。

    memo

    ホホバ種子油やオレンジラフィー油が多い化粧品がおススメ。
    シリコーン油はダメではないが、あまり全成分表示の前方にあるのはおススメしない。

    まとめ

    オイルは保湿剤の中でも非常に大切な成分です。

    化粧品にはなくてはならない成分なので、その役割や種類はある程度知っておくと、化粧品選びに役に立つと思います。

    今回の記事が皆さんの化粧品選びの役に少しでも立てたら嬉しいです。

    最後までお読みいただきありがとうございます。

    同じ保湿剤でも、みずみずしい潤いを与える多価アルコールについても別記事でまとめています。

    化粧品の多価アルコールに関して詳しくは、
    この「【元化粧品開発者が解説】化粧品の保湿成分とは?-多価アルコール編-」も是非ご覧ください。

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