【元化粧品開発者が解説】化粧品パッケージの成分表示の見方とは?

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この記事を書いた人

某化粧品メーカーの元化粧品開発者。
約8年間、基礎化粧品一筋の開発者として多数の化粧品の処方設計に従事。その後転職し、現在は肌に関する研究活動に注力。
化粧品開発者としての知識や経験を基にしたスキンケア情報や、ライフハック的な情報を随時発信。

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みなさんは化粧品を買う時に、配合されている成分は気にしますよね?

でも、パッケージ等に記載されている全成分表示まで見る人はあまり多くないのではないでしょうか。

元化粧品開発者の私からすると、それではちょっともったいないなと思ってしまいます。

全成分表示からでも、配合成分について分かることはいろいろとあり、化粧品を選ぶ時の役立つ情報になります。

しかし、成分表示のルールを理解していないと、見方もわかりませんよね?

そこで今回は、化粧品の成分表示についてお伝えします。

こんな疑問を解決します

・化粧品と医薬部外品の違いとは?

・化粧品の全成分表示ルールとは?

・医薬部外品の全成分表示ルールとは?

この記事を読めば、成分表示のルールがしっかりと理解でき、化粧品の中身についてより興味が深まると思います。

ぜひ最後までご覧ください。

化粧品と医薬部外品で表示ルールが違う!

2種のパッケージ比較

化粧品と一言で言っても実は、化粧品以外にも医薬部外品というものもあります。

色々と違いはあるのですが、めちゃくちゃざっくり説明すると、

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医薬部外品は、医薬品と化粧品の中間的な存在。

というイメージを持っていただくと分かりやすいかもしれません。

kazunari
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化粧品より、すこしだけ薬よりな化粧品が医薬部外品です。

パッケージやラベルをしっかり見ると、「医薬部外品」と書かれているのが分かります。

医薬部外品の名前にはよく「薬用」と付けられることがありますが、化粧品では認められていません。

そして、化粧品と医薬部外品で区分けが異なるので、成分の表示ルールも変わってきます。

なので、成分表示を見る場合、まずその商品が化粧品なのか、医薬部外品なのか、をしっかり理解する必要があります。

化粧品と医薬部外品の違いに関して詳しくは、
この「【元化粧品開発者が解説】化粧品と医薬部外品の違いとは?」も是非ご覧ください。

化粧品の全成分表示ルール

化粧品のパッケージ例

パッケージの成分を見る際に、知っておくべきルールは以下の2つです。

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①配合濃度が1%を超える成分は多い順に記載する

②配合濃度が1%以下の成分は自由に記載してよい

他にもキャリーオーバー成分などのルールがありますが、特に大切なのはこの2点です。

ちなみに「1%を超える」は1%は含まず、「1%以下」は1%を含みます。

①配合濃度が1%を超える成分は多い順に記載する

まずは最初に配合量が多い成分を、配合量順に記載しなければなりません。

そのため、表示を見ればなんとなく、たくさん入っている成分がわかります。

そして、配合量が多い成分がやはり肌への効果にも重要になってきますので、この1%を超える成分は特にしっかり見ておく必要があります。

②配合濃度が1%以下の成分は自由に記載してよい

1%を超える成分を記載した後、配合量が少ない成分の記載順は、メーカーの自由です。

なので、最初に配合濃度順に成分が記載され、あるところから配合濃度がバラバラになって記載されることになります。

ちなみに、配合濃度が0.001%といったかなり低濃度の成分でも配合していると記載できてしまいます。

kazunari
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ほんとにちょろっと入ってても、○○成分配合!と言えてしまうんです。

全成分表示例を見てみる

言葉だけでは分かりにくいので、実際の全成分表示を例に見てみましょう。

水、DPG、BG、グリセリン、ハトムギエキス、グリチルリチン酸2K、(スチレン/アクリレーツ)コポリマー、エタノール、クエン酸、クエン酸Na、メチルパラベン

引用元:ナチュリエHP

こちらはハトムギ化粧水の全成分表示です。

まず、配合濃度が1%を超える成分が記載されます。

ハトムギ化粧水だと、DPGBGグリセリンまでが1%を超える成分かと思います。

これらが、多い順に入っていることが分かります。

この配合濃度が1%を超える成分に何が入っているかを特に気を付けて見ていただきたいです。

ハトムギ化粧水では、水以外はすべて水溶性の保湿剤で、非常にシンプルな成分構成になっていることが分かります。

kazunari
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そして、さらに言うとかなり原価が安いことも分かります。

そして、グリセリンより後に記載されている

ハトムギエキス、グリチルリチン酸2K、(スチレン/アクリレーツ)コポリマー、エタノール、クエン酸、クエン酸Na、メチルパラベン

は、配合濃度が1%以下の成分となります。

これらは配合量の順番がバラバラですので、何が多いかは判断できません。

化粧品の全成分表示で大切なこと

化粧品の全成分表示で重要なのが、

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配合濃度が1%を超える成分と1%以下の成分が、どこで分かれているかが一般消費者には分からない。

という点です。

これを利用して、多くのメーカーは訴求成分(ウリとする成分)をできるだけ前に記載して、配合量を多く見せようとします。

訴求成分に関して詳しくは、
この「化粧品の訴求成分とは?元化粧品開発者が徹底解説」も是非ご覧ください。

ハトムギ化粧水の例では、訴求成分であるハトムギエキスはおそらく1%以下の成分ですが、1%を超える成分(グリセリン)のすぐ次に記載して多く配合しているように見せています。

kazunari
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成分表示の前の方に記載されているからって、多く配合されているとは限らないので注意してください。

基本的に訴求成分が1%を超えることはかなりレアですので、

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訴求成分らしいものが記載されていたら、そのあたりが1%を超える成分と、1%以下の成分の境目になります。

こういった方法で、成分の配合量を確認することも可能です。

医薬部外品の全成分表示ルール

医薬部外品パッケージ

一方、医薬部外品は化粧品とは全然違う表示の仕方をします。

少し複雑ですが、基本的には日本化粧品工業連合会が作成したガイドラインに沿って記載されます。

化粧品の表示ルールと大きく違うのは次の2点です。

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①有効成分とその他の成分に分けて表示する

②成分の記載順と配合濃度は関係ない

①有効成分とその他の成分に分けて表示する

医薬部外品は医薬品と化粧品の中間的な存在です。

そのため、医薬部外品では有効成分が主役で、それ以外の成分は脇役のような扱いになります。

成分の表示でも有効成分とその他の成分は、ちゃんと区別ができるように表示されます。

最も一般的なのは、有効成分は成分名の後に「※」が付けられます。

例えば、4-メトキシサリチル酸カリウム塩※とか、トラネキサム酸※といった感じです。

そして、欄外に ※は「有効成分」、無表示は「その他の成分」といったような説明が付けられています。

②成分の記載順と配合濃度は関係ない

化粧品の場合は、配合濃度1%を超える成分は配合濃度順に記載しなければならないですが、医薬部外品はそういったルールはありません。

なので、どの成分が多く配合されているのか、一切わかりません。

その代わり、有効成分はしっかりと効果が出る濃度で配合しなければならないルールなので、

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医薬部外品の成分表示は、有効成分に何が使われているか、をしっかり見る。

ということが重要になってきます。

全成分表示例を見てみる

実際の医薬部外品の成分表示も見てみましょう。

グリチルリチン酸ジカリウム※、精製水、エタノール、濃グリセリン、コムギ胚芽油、トウキエキス(1)、ハトムギエキス、ハマメリス抽出液、メロスリアエキス、酢酸dl-α-トコフェロール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、セスキオレイン酸ソルビタン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ポリオキシエチレンアルキル(12~15)エーテルリン酸(8E.O.)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、無水エタノール、パラオキシ安息香酸エステル、香料

※:有効成分 無印:その他の成分

引用元:コーセーオンラインショップ

こちらはコーセーの薬用 雪肌精の成分表示です。

最初に有効成分のグリチルリチン酸ジカリウムが※付で表示されていますね。

これが有効成分だと分かります。

そして、それ以降は特に印が無いので、その他の成分であることが分かります。

しかし、先ほどもお伝えした通り、どの成分が多く配合されているかはわかりません。

医薬部外品の成分表示

自宅の医薬部外品を探してみると<有効成分>、<その他の成分>と書かれているものもありました。

しっかりと成分表示を見れば、化粧品と医薬部外品は見分けられますね。

まとめ

今回は化粧品と医薬部外品の成分表示のルールについてお伝えしました。

まとめ

・化粧品と医薬部外品で成分表示のルールはちがう

・化粧品は配合濃度が多い順と、そうでないものが一緒に記載されている

・医薬部外品は有効成分とその他の成分で若得て記載されている

・医薬部外品は成分の配合濃度と記載順は関係ない

全成分表示は化粧品の中身を知るうえで、重要なツールとなります。

ぜひ、しっかりと記載ルールを理解して、賢く化粧品を選べる消費者になっていただきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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